プロの仕事

『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』村上春樹 柴田元幸 文春新書

本書中の対談でつかわれた「です」と「ます」をかぞえてみました。
まえがき(ライ麦畑の翻訳者たち まえがきにかえて)に、対談の「テープ起こしからの構成は僕(村上)がやった」とあります。

対談部分はふたつ。
対話1 ホールデンはサリンジャーなのか
対話2 『キャッチャー』は謎に満ちている
その全文中の、「です」と「ます」の使用回数

murakami

1.ません:ないです=14:63
2.ありませんでした:なかったです=0:6
3.でした:だったです(!)=0:3
(数字は使用回数)

1と2を合わせると、「ません」の14に対して「ないです」の69という結果になります。

注目は、「でした」のゼロに対して「だったです」の3
「ます」から「です」への大転換において、「だったです」は「たべるです」「たべたです」と並んで、浸透度が低いものです。これはすべてわかってやっているんだとおもう。

“でした”は「ます」から「です」への過渡期に発生した一時的な現象で、いずれは“だったです”へと移行する。
そう言っているのだ。

〈過渡期に発生した一時的な現象〉
ひまです(であります)
ひまでした(でありました)
ひまじゃありません
ひまじゃありませんでした

〈完成図〉
ひまです(◯)新しい「です」
ひまだったです(*)どうせこうなる
ひまじゃないです(◯)移行済み
ひまじゃなかったです(◯)移行済み

はじめから決められた、「です」はあたらしい日本語のカタチです。