あたらしい活用表 2016年度 最新版 (PDFで見る)
『新しい活用表』では、「形/フォーム」と「態/ヴォイス」とに分けて、活用表を二つ作りました。こちらの 『新しい活用表 1/2(形)』は動詞と形容詞の「形/フォーム」の活用表です。『新しい活用表 2/2(態)』と合わせてご覧ください。
- 形(けい)/フォーム:文の中で部品のように使われる固定されたカタチ(て形・意向形・連用形・ない形・命令/禁止形・連体形)
- 態(たい)/ヴォイス:述部での動詞のあり方。文末で文全体のつくりを決定づける(可能態・受動態・使役態・受給態)
上の表は「形(けい)/フォーム」の活用表です。(「態(たい)/ヴォイス」の活用表はこちら)
「あたらしい活用表」のあたらしいところ
◎国語の活用表と日本語敎育の活用表
- 辞書の巻末などにある、国語の活用表
国語の活用表は、五段動詞の語幹が他の要素と接続するときの形の変化を分析したものであり、それを日本語教育の活用表と比べて優劣を語ることはできない。
ただし動詞以外の要素をとりこんでいる、「終止」と「連体」を同列にしてしまったのは、問題があった。
これは形と態の区別がついていないようにも見え、批判の対象となることも多い。
- 日本語教育の活用表
初級の日本語の教科書の巻末などにある、従来の活用表を見ると、「て形」とか「た形」、「ない形」、「辞書形」なんて耳慣れない名前の活用形が紹介されていて、そのいろんなカタチがずらりと横に並んで一つの表におさまっている。左から、教科書で出てくる順番だ。その表に形容詞はない。
◎従来の活用表とちがうところ
- 可能・使役・受動は「形」ではなく「態」として別にあつかう
- 形容詞を網羅した(用言をすべてフォローした)
- 形容詞を扱った上で、否定の「ない」を伴うカタチを形容詞の仲間とした
- 基本の形をたべますの「たべ」とし、これを動詞の原形とした
- いわゆる「普通形」を網羅した(なまとかた)
- 可能・使役・受動などの「態」は、常に文末(述部)で文全体の構造を支える役割を持つ。この点において「形」とは明らかに異なる概念である。
- そもそも日本語には用言という言葉もある通り、動詞と形容詞は同じような仕事をしている。また日本語の形容詞の特徴として過去形があることがあげられるが、このことは、日本語の、動詞と形容詞との類似性を象徴してもいる。
- 日本語の「ない」は一般に形容詞とされる。その「ない」を使った、いわゆる「ない形」を形容詞の仲間とした。
- 日本語のように動詞の本体が他の要素をとりこんで活用する言語においては、動詞の原形は語幹(たべますの「たべ」)である。だから多くの日本語の初級教科書が「たべます」を基本のカタチとするのは、偶然とはいえ大変理にかなったことであろう。
(2016.3)