「の/こと」のちがいは わかりやすく、はっきりと区別できる
- 私の趣味は本を読むことです。〈概念・事実〉
- いまは本を読むのをやめてください。〈実際の、行為・所作〉
「の」に一課を割く『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(第38課)
まるごと一課を割く、丁重な扱いに一定の評価を得るも、「38課まで待てない」、「出てくるのが遅すぎる」との声も多数上がっている
本を読むこと 実際に行われたり、行われる行為をさしているわけではなく、概念としての「本を読むこと」つまり読書が趣味だと言うこと。
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本を読むの 過去に行なわれた、行なわれるはずだった、行なわれるべきだった行為、
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◆どちらも使えるが、「の」のほうが自然なもの
- お酒を飲むことが好きです。
- お酒を飲むのが好きです。
いま飲みながら話しているなら、断然「の」。
そうではなくともアクションをさす「の」を使ったほうが、お酒の席の楽しさがいきいきと伝わる。
◆実際に行なわれる行為ではないが「の」をつかうもの
- 料理を作ることが上手です。
- 料理を作るのが上手です。
実際に行なわれるアクションではないが、スキル(技術)を表現している事から、よりアクティブな「の」が使われる。
実際に上手に作っている光景(ところ)が目に浮かぶのではないか
◆どちらも使えるもの
- 車で来たことを忘れていました。
- 車で来たのを忘れていました。
「こと」のほうは「車で来たという事実」、
「の」のほうは「車で来たという行為」を、それぞれさしている。
- 煙草をやめるのは、大変なことです。
- 今年の目標は、5キロやせることです。
「の」は代名詞や指示詞に似て、モノやコトをさししめすはたらきがある
- これは私のです
- もう少し大きいのはありますか
- ポケットがたくさんあるのがいいです
- たこやきというのはなんですか
代名詞や指示詞に似て
「もの」とは「物」という漢字をあてることでわかるように、具体的にそのモノ(物体・thing)のことであるのに対し、「の」はそのモノたちのなかからある属性を持つモノを、「矢印」のように特定する(さししめす)働きをもつ語である。これは英語の「one」に近い。
- 大きいの
- 大きいもの
この二つを並べてみるとその違いがわかりやすいのではないか。そして「の」はものだけでなく行為や概念をさししめすこともできるのだ